『集中しなさい』より迷路のほうが効く理由
5歳の子に『集中しなさい』と言ってもたいして変わりません。幼い子は『集中している状態』が体感としてどういうものか、まだよくわかっていないからです。迷路はそれを言葉ではなく感覚で教えてくれます。鉛筆の先は道の上にあるか壁にぶつかるかのどちらかで、注意がそれた瞬間とその結果の間にほとんど時差がありません。
算数の問題集もいずれ丸バツがつきますが、迷路は線がずれた瞬間にその場でわかります。この即座の視覚的フィードバックこそが、『脳トレ』というおおげさな言葉より実際に役立つ理由です。親に指摘される前に、子ども自身が自分の注意の乱れに気づき始めます。
4〜5歳の子が座って何かに集中できる時間は、調子が良くてもだいたい8〜10分が限界です。迷路を1〜2問というのはちょうどその範囲に収まる量で、本番の勉強前のウォーミングアップとして負担になりません。ただし、これはあくまでウォーミングアップであって本番ではないことを忘れないでください。1問に15分もかかるようなら、それはもうウォーミングアップではなく、もう一つの重い課題になっています。
難易度はこう段階的に上げましょう
一番簡単な段階は分かれ道が一つもない一本道の迷路です。迷路に初めて触れる4歳児ならここから始めるのが正解です。間違えようのある分かれ道自体が存在しないので、失敗して落ち込むこともありません。
一本道の迷路に飽きたら(たいてい数か月ではなく2週間ほどで飽きます)、偽の分かれ道が少し混ざった迷路へ、その次は『右に2マス、下に1マス』のように指示を順番に守るコード迷路へ進みましょう。コード迷路が求める力は普通の迷路とは違います。目で道をたどるのではなく、複数の指示を順序どおり記憶して正確に実行する力で、これは学校での多段階の指示を守る力にずっと近いものです。
一番上の段階は、数字を飛ばしながら点をつなぐ問題や、二つの手がかりを同時に覚えておかなければならない多段階パズルです。これはたいてい7歳未満には荷が重すぎます。6歳の子がこの段階で泣き出すなら、それは集中力の問題ではなく、その子のワーキングメモリの容量を超えているだけです。無理に続けさせず、一段階下げてあげましょう。
子どもが投げ出したくなったとき、具体的にこうする
迷路の4分の3まで進んだ6歳児が、行き止まりに鉛筆を強く押し当てたまま『もうできない』と紙を押しやる場面を想像してください。この瞬間に答えを教えると、子どもはたった一つのことを学びます。『あきらめれば大人が終わらせてくれる』ということです。これを何度か繰り返すと、『もうできない』が迷路のどんどん早い段階で出てくるようになります。
そこで親は鉛筆に手を出さないでください。代わりに指で行き止まりの直前の分かれ道までたどり直させて、『ここに他の道はなかった?』と聞いてみましょう。答えを教えるのと同じ役割を果たす質問ですが、子ども自身が見つけるという点が違います。
それでも本気で一度挑戦して見つからないなら、それは無理に続ける場面ではなく、その迷路が一段階難しすぎるということです。いったん脇に置いて、1分以内に解ける簡単な迷路で成功体験を作ってから、難しいほうは別の日にまた挑戦させましょう。子どもによっては、難しい迷路に再挑戦する前に『簡単すぎる』迷路を2〜3問解く必要があります。これは後退ではなく普通のことです。
この方法を台無しにする、いちばんよくある失敗
いちばんよくある失敗は、子どもが詰まったときに親が鉛筆を取り上げて『こうやるんだよ』とやって見せてしまうことです。その瞬間は助けているように感じますが、実はこの活動を無意味にする一番手っ取り早い方法です。親の手を見ながら完成した迷路は、子ども自身の注意力について何も教えてくれません。
次によくある失敗は、結果がどうであれ毎回『よくできたね、全部解けたね!』とだけ褒めることです。子どもはすぐに気づきます。完成させることだけが反応を引き出すとわかると、褒め言葉欲しさに簡単な迷路を雑に急いで解くようになりますが、それはこの活動が育てようとしているゆっくりで丁寧な集中とは正反対です。代わりに過程を褒めましょう。『さっき行き止まりから戻って別の道を探したね、それが一番大事なことだよ』というふうに。
時間を測るのは圧力ではなく遊びとして
タイマー自体は問題ではありません。『3分以内に解かなきゃだめ』という言葉がつくと、それはほぼ即座に圧力に変わります。迷路がパズルではなく、合格・不合格を分ける試験になってしまうからです。同じタイマーを『前回の記録を超えられるかな?』と言い換えれば、子どもは昨日の自分とだけ競う遊びをすることになります。
きょうだいや友だちと時間を比べるのは、たとえ何気ない一言でもやめておきましょう。公平な比較対象はその子自身の過去の記録だけです。記録が伸びなかった日は、そもそも時計から意識をそらして、『一度も後戻りせずに解けたね』といった別の基準で褒めてあげてください。
ワークシートジョイの迷路・パズルでルーティンを作る
ワークシートジョイの迷路・パズルプリントは、一本道の迷路からコード迷路、多段階パズルまで難易度別に構成されているので、子どもが今どのあたりにいるか勘ではなく確認しながら順番にレベルを上げていけます。たいていの日は、他の勉強の前に1枚で十分で、毎日必ずやらなければならないルールにする必要はありません。
今の段階を2〜3回連続で楽に解けたら次のレベルに進めましょう。ミスが増え始めたらすぐに一段階下げますが、それを失敗だと考えないでください。自分の『本当の』実力より一段階下の迷路を自信を持って解いている子は、この活動が育てようとしているまさにその習慣を身につけている最中です。実力より高い段階でずっと苦戦している子は、ただ挫折感の練習をしているだけです。